今更ながらによみました。化学物質過敏症の界隈では有名な本です。
共通点は、多くの人にとって症状がまったく不意に出ることです。「ある日突然にやってきた」「まさか自分の子どもが発症するなんて考えもしなかった」という人、「突然、落とし穴に落ちた感じ」という人もいます。
そうそう、そうなんですよね!!
化学物質過敏症は、現在の西洋医学ではいったん発症すると完治しないと言われているので、発症する前に予防的に対策をしておくことがとても重要です。
子どもは大人より濃い化学物質を吸っている
子どもは大人より濃い化学物質を吸っている可能性が高い、というよりも同じ環境にいた場合、大人よりも子供の方が確実に曝露量は多いです。理由は3つ。
- 背が低い
- 体温が高い
- 大人の2倍以上の空気を吸う
どういうことでしょうか?
背が低い
「ホルムアルデヒドを除くVOCs(揮発性有機化合物)は、空気より重い」ので、天井よりも床に近いほうがVOCsの濃度が高いです。したがって、大人よりも子供の方がより害を受けます。
VOCs(揮発性有機化合物)とはトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンなどのヤバイやつです。意外と、屋内では普通に空気中にあるんですよ。一応、国によって「室内濃度指針値」が設定されています。
体温が高い
また、人間の体温と気温の温度差によって体の周りに上昇気流が起こります。よって、その上昇気流によって足元の濃いVOCsが鼻まで届き、吸入されます。
この現象も、子供のほうが体温も高く背も低いので、大人よりも子供の方がより害を受けます。
大人の2倍以上の空気を吸う
単純に、子供は大人より呼吸量が多いです。体重15キロの子供は、体重50キロの大人の約2倍程度の呼吸量があります。
子供は身体がセンシティブ
上記の理由により、子供の方が曝露量は多くなります。
さらに、子供は成長過程にあり、化学物質の影響を受けやすいです。
また、身体が小さい方が許容量(閾値)も小さいので、負荷がかかりやすいです。
例えば薬でも、子供用は少なく作られていますよね。VOCs(揮発性有機化合物)の場合、逆になっているんです。
予防原則にたった環境づくりが必要!
この『しっていますか?シックスクール』は、対策がとても具体的です。
現状での化学物質過敏症的な問題点を上げて、それに対してどうすればいいかを具体的に書いてあります。
学校との落とし所が段階的に挙げられていて、スタンスが現実的で冷静だな、と感じました。
例えば、今使っている用品を「天然素材に変える」に変えることはできなくても、「換気をする」なら折り合える可能性が高くなりますよね。
ところどころに漫画がはさんであり、本を読むのが苦手な人でも内容が頭に入りやすいように、読んでもらいやすいように工夫されています。
子どもがいる人には全員、ぜひ読んでもらいたい本です。
今発症していなかったり、化学物質過敏症とは全然関係ない人が読んでも役に立ちます。
子供の将来のためにも、予防原則にたった環境づくりが必要です。
そんな環境づくりを実現するには、多くの人に少しでも「他人事ではない!」と感じてもらうことができればいいのでは、と思います。
まとめ
健常者と戦うのを想像した時、この本は武器になりますね(笑)魔導書かもしれない。訴えの根拠になります。
でも、戦うと周囲の反感も買います。戦うのではなく「知ってほしい、わかってほしい、落とし所を一緒に探してほしい」というスタンスでいきたいものです!
気力に余裕がないと厳しいんですけどね。